英語版総集編 GAGAKU An Important Intangible
Cultural Property of Japan (重要無形文化財 雅楽) 59分は
第44回日本紹介映画ビデオコンクール優秀作品賞=第2部門〈日本の芸術・文化〉部門賞を受賞しました。
太平楽の鉾の蛇
掲載開始 1998.09.20. 最終更新 2006.03.20.
The GAGAKU video series in 10 VHS
video cassettes both in NTSC and PAL or DVD-R
in NTSC with Japanese and English
subtitles. Accompaning publication is in
Japanese and English. Tape 6 "Instuments
and Notation" and 10 "Costumes,
Masks
and Properties" with English narration.
各巻の内容説明です。アンダーラインされた部分あるいは画像ををクリックしてください。各巻の説明に飛べます。
第1期
東遊
久米舞
越殿楽 残楽三返
延喜楽
抜 頭
資料編1 雅楽器と雅楽譜
お言葉 「雅楽」刊行によせて 高円宮憲仁親王
ごあいさつ
財団法人下中記念財団理事長 下中邦彦
下中記念財団は、文化庁のお口添えと宮内庁の多大なご協力で、国指定の重要無形文化財、雅楽を
宮内庁式部職楽部の演奏によりビデオ収録し、映像出版することになりました。今回の企画は、我が国の
古来の祭式芸能である国風歌舞から、広くユーラシア各地の芸能を取り入れた管絃や舞楽、そして平安
時代の王朝文化が産みだした催馬楽や朗詠という謡物まで、千数百年にわたって宮廷を中心に伝承され
てきた雅楽の全ジャンルを綱羅しております。
雅楽はたんに音楽や舞踊にとどまらず、面や装束などを含めた総合芸術であり、日本人が誇りを持って
二十一世紀に引き継ぐ文化遣産であります。昨今は、雅楽への関心が非常な高まりを見せておりますが、
実際に上演を鑑賞できる機会はきわめて限られています。そこで、現実の雅楽の上演でも見ることが難しい
細部にこだわった映像化を試みました。
一人でも多くの方々が雅楽の神髄にふれ、とりわけ若い世代の方々に、本シリーズを大いに利用していた
だければと、願っております。
解説書 序文 柘植元一 (東京藝術大学教授)
わが国に伝えられている雅楽はもともと外来の楽舞であった。これは唐代の中国宮廷で行われていた
宴饗楽(宴饗雅楽)が渡来したものである。この日本に伝えられた「雅楽」は確かに広義の雅楽ではあるが、
実は本来の中国の狭義の雅楽ではない。というと、意外に思われる向きがあるかも知れない。その理由は、
古代中国では「雅楽」が儒教の祭礼楽を意味したからである。中国では宗教儀礼のための雅楽と、宴饗の
ための「讌楽(えんがく、燕楽、宴楽とも書かれる)」とを区別していた。前者は「正楽」つまり「雅正の楽」として、
後者は「俗楽」どして分類されていた。俗楽は「胡楽」をも吸収していった。胡楽は中央アジア・西アジアなど
西域の楽舞で、漢民族にとっては外来音楽であった。
こうした起源を異にするさまざまな楽舞の様式が宴饗楽にとりこまれており、それが日本に中国の雅楽として
伝えられたのである。中国の雅楽が伝えられたのは日本だけではない。中国周辺の東アジアの国々、とりわけ
朝鮮半島やヴェトナムに伝わった。だが、唐代の宴饗楽をもっとも早い時期に導入したのはわが国で、八世紀
以来今日まで雅楽を途絶えることなく伝承してきた。朝群半島では高麗時代に宋代の雅楽が導入されたが、
今日韓国で伝承されているのは十五世紀初めの李朝以降の伝統である。ヴェトナムには明代の雅楽が伝え
られたが、その伝承は十九世紀以降途絶えた。ヴェトナムの雅楽は目下その再興の試みがなされつつある。
雅楽の本家本元である中国ではその伝承がどうなっているかというと、それはとうの昔に消減してしまって
いる。わずかに、西安鼓楽や福建南曲のような音楽様式に唐代音楽の痕跡がみられるというが、それらは、
もはや雅楽の伝承とはいえない。では、日本に伝承されている雅楽がどの程度に唐代中国の宴饗楽を忠実に
保存しているのであろうか。この問いに答えるのは簡単ではない。楽器や楽譜を見るかぎリ、わが国の雅楽は
唐代の音楽をかなりよく保存している。しかし、音の響き、つまり音楽構造は、かなり変化してきているといわねば
なるまい。千三百年の間に「日本化」が行われたのである。
八世紀の初頭に設置された雅楽寮は大陸渡来の雅楽や舞楽だけでなく、皇室の神事や儀式に奏された
神楽や久米舞や東遊など、いわゆる国風歌舞をもあつかった。平安時代になると、日本の楽人が外来の形式に
のっとって新曲をつくったり舞をつけたりした。さらに、催馬楽や朗詠など声楽のジャンルが新たに作られた。
こうして、日本の雅楽は独自の発展をとげていったのである。だが、このような多岐にわたる曲種や曲目がすべて
古来連綿と伝承されているわけではない。いくつかの楽曲や舞は廃絶された。室町期以降中絶していたのものが、
十九世紀の初めに再興され今日伝えられている曲もある。「明治撰定譜」の制定にあたっては、系統の異なる
伝承の整理統合が行われた。
だからといって、日本雅楽の古い伝統としての価値、あるいは資料的な価値がいささかでも減ずるものでは
ない。もともと音楽舞踊のような奏演芸術の伝統は、つねに変化し再編されつづけるダイナミックなプロセスの
中で生きつづけるもので、けっして永劫不変のものではないからである。宮内庁式部職楽部が伝承する雅楽は
単にわが国の重要無形文化財であるばかりでなく、東アジアの、そして世界の貴重な文化遺産である。その奏演
の全貌をすべてのジャンルにわたって記録したこのビデオ・シリーズは、雅楽愛好家は勿論、世界の伝統音楽
研究者が注目する重要な映像資料となろう。
EC版雅楽シリーズについて
下中記念財団EC日本アーカイブズでは、1972年に以下の6演目の記録を行っています。
重要無形文化財 雅楽 宮内庁式部職楽部シリーズを購入された方々で、これらの映像を視聴希望される方のために、萬歳楽、
林歌、還城楽と越天楽、陪臚、太平楽をそれぞれ1本にまとめたカセットを限定部数作成しました。このカセットは非売とし、頒布を
担当している平凡社出版販売(フリーダイアル 0120-00-1989)が管理しています。ご購入者には、これらのビデオを無料でお貸出し
いたしております。(但し貸出期間2週間、返送実費はご負担いただいております。)
まだご購入いただいていない方、下中記念財団から「重要無形文化財 雅楽 宮内庁式部職楽部」シリーズを購入された方で、
これらの映像を研究目的に閲覧希望される方は、03-5261-5688、下中記念財団にご照会下さい。ECフィルム(ビデオ)の利用(閲覧・
貸出・頒布)は有料となっております。ご購入者への無料貸出しはDVD-R版だけとなりますことをお許し下さい。
萬歳楽 27分
太平楽 43分
林 歌 29分
還城楽 26分
陪 廬 17分
越天楽 22分
萬歳楽
林歌
還城楽
英語版について
英語版は国際交流基金の助成により製作されました。資料編:第6巻 雅楽器と雅楽譜、第10巻雅楽の装束と着装の2巻は、英語の
ナレーションを付けました。あと8巻には日本語に加えて英語のスーパーを付けました。NTSC・PALの両バージョンがございます。
解説書の英文解説と併せ、有効活用ができることでしょう。
また英語版の59分に演奏部分をまとめた総集編を製作し、日本紹介映画・ビデオコンクールで優秀作品賞をいただきました。
購入のお問い合わせ・お取り次ぎ
本雅楽シリーズVHS版は、総発売元が平凡社出版販売株式会社映像事業部となっております。
またDVD-R版は、財団法人下中記念財団が直販いたしておりますが、いずれもご照会は東京シネマ新社でお受けいたしております。
e-メール info@tokyocinema.net 電話 03-3811-4577 東京シネマ新社
雅楽シリーズDVD-Rの貸出と分売
DVD-R版に限って下中記念財団では雅楽シリーズの貸出を始めました。貸出価格は1巻あたり2,000円です。また分売については、
1巻あたり20,000円となります。いずれもご照会は東京シネマ新社でお受けいたしております。
第一期(6巻)頒布価格128,000円 第二期(4巻)88,000円、全10巻セット216,000円ですが、
目下、特別価格の割り引きで、ご注文をお受けしています。できるだけお早めにご注文下さい。