朝小子(ちょうこし) 舞人が舞台に上る曲です

重要無形文化財 雅楽 宮内庁式部職楽部
 第7巻


太平楽たいへいらく

 唐楽を伴奏とする左方武舞の代表的な演目「太平楽」。おめでたい舞として天皇即位式に万歳楽(まんざいらく)と共に奏されてきました。曲は朝小子、武昌楽、合歓塩の三曲からなる序破急の合成曲ですが、太平楽一具(いちぐ)を一切省略することなく奏することは、非常に希であり、本映像は貴重な記録です
(47分)


 合歓塩(がっかえん)

太平楽の収録:

太平楽の収録は、1999年7月3日に行われました。下中記念財団では1972年にも太平楽一具を16mmフィルムで記録しています。その時の記録も徹底分析して、見応えのある、より優れた映像を目指しました。一生の間に、2度も同じを曲目の記録を担当することになるとは、想像すらできないめったにないことです。今回は各カメラは、基本的に初めから終わりまで、原則的に何処でも使えるように撮影し、将来の裏画面をポップアップできるDVD化を睨んだ記録方式を採りました。

これまで撮影は、4台のカメラで行ってきましたが、太平楽では7台のカメラを使用しました。いつも正面に全景を押さえるAカメラを置きますが、その直ぐ下に、どんなに引いても舞人一人の全身という、アップ専門のBカメラを用意しました。Cカメラは舞台正面左の角、高欄の高さぎりぎり、Aカメラの死角ぎりぎりの外側に、Dカメラは2階下手側のバルコニーに、Eカメラは2台、左方大太鼓脇から太鼓ナメの管方と太鼓ナメの高舞台上の舞人を狙います。Fカメラは右方大太鼓裏に隠れて、鞨鼓をはじめとする管方の演奏を記録します。実は、DカメラからはEカメラが、EカメラからはFカメラがそれぞれ写りかねない位置関係にあります。Eカメラは廊下に位置し、撮影台や三脚などを暗幕で覆って暗がりに沈めています。また、Fカメラは手前に位置する左方大太鼓の奏者に隠しているのです。かなり大胆なカメラ配置により、太平楽という舞の豪華絢爛にして勇壮な雰囲気を伝えたいと思ったのです。個人的にはビデオによる映像で見るよりも雅楽は、実物を見た方がよいと感じています。本来、屋外で演奏されていた舞楽は、室内よりも屋外で鑑賞できるのが理想でしょう。それでも映像でというのなら、通常の演奏会では見ることができない、そういう映像化を図りたい、それが映像作家としての私の考えです。

今回お届けする太平楽の映像は、現在考えられる最も理想的な演奏によっています。春秋の演奏会では、短時間に左右の舞楽を演奏しなくてはならないため、管方が左方・右方双方の 襲装束をまとい、交互に着席しています。この記録では、管方は全員左方の装束を着用しています。また、この収録に先立って、国立劇場での演奏がありましたが、その時の演奏には幾つかの部分で、省略がありました。この記録では、その時省略された部分も収録しております。現在首席楽長を務めていられる東儀兼彦先生が、収録にあたっての演奏指揮をされましたが、撮影が終了したとき、「今回の方が、前回(1972年)の時より上手く行きましたね」と、呟かれたのが印象的でした。

     
A 奥田カメラマン         B 谷口カメラマン        C 堀田カメラマン        D 秋葉カメラマン        E 草間カメラマン1

 

E 草間カメラマン 2        F 小野カメラマン 
ビデオの世界は着実にデジタルの方向へ進んでいます。今回、実験的に一部のカメラは、DVcamを使いました。


copyright: Shimonaka Memorial Foundation, All Rights Reserved

掲載開始 2000.05.01.
最終更新
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