種子の中の海 イチョウの精子と植物の生殖進化
THE SEA IN THE SEED Sperm ofGinkgo biloba and Reproductive Evolution in Plants
製作 東京シネマ新社 完成 2000年1月 カラービデオ 35分
copyright: 2000,TokyoCinema Inc. all rights reserved
受賞: 第41回科学技術映像祭科学技術庁長官賞
     第21回ロンダ(スペイン)UNICAJA国際科学映像ビエンナーレ最優秀学術映像賞
     第11回TEPIAハイテク・ビデオ・コンクール TEPIAグランプリ 
    

Go to Enclish text

  陸上植物は水中に生きていた一種類の緑色藻類から進化したと考えられています。植物の進化と平行して、生殖の方法も進化し続けています。現存する植物の生殖を観る事で、生殖の進化の軌跡を推察します。


頒価・頒布形式の変更

DVDを販売いたしております。個人・研究室・教室での利用は、1本25,000円(消費税込)です。貸出行為を伴う映像ライブラリー、図書館、学校での購入の場合、1本50,000円(消費税込)です。同一のDVD-Rに日本語版と英語版が入ったバイリンガル版です。PAL版もあります。BDに焼いたものをご希望の方はお申し付け下さい。

DVD-Rの再生をサポートしていない機器では再生トラブルが起こることがあります。その他のビデオ形式でのお求めは次に、ご照会下さい。事前告知無しに、頒価、頒布条件の変更が行われることがあります。
お問い合わせは:こちらへ ウェブ上での全編プレビューは無料です。 科学映像館


 イチョウは春、花粉を飛ばします。花粉が若いギンナンの内部に取り込まれると卵が作られ始めます。 それから約4ヶ月後、成長したギンナンの内部で卵は成熟します。花粉は花粉管を伸ばし、その中に精子を作ります。同じ頃、イチョウは種子(ギンナン)の中に精子が卵まで泳ぐ「海」を用意します。この「海」を泳いで精子は卵と受精します。

コケ植物・シダ植物などの原始的な陸上植物は精子を放出し、外界の水に泳がせて受精します。

被子植物などの高等な植物は、雄しべから雌しべへ花粉を届けます。花粉は雌しべの水分と養分を利用して花粉管を卵まで伸ばし、直接精細胞を卵へ届けます。

この2つの生殖方法を進化的に繋ぐのが、1896(明治29)年に発見されたイチョウ精子(平瀬作五郎 1856-1925)であり、ソテツ精子(池野成一郎 1866-1943)でした。植物は生殖の瞬間はダイナミックに動きます。しかし、最もデリケートな時期でもあるので、生きている状態での観察は困難でした。近年、日本の植物研究は 生きている状態での裸子植物の精子による受精と、被子植物の重複受精の観察・撮影を世界で初めて可能にしました。

この作品では原始的な植物から高等な植物までの、生きている状態での生殖の有様を、段階を追って一覧し、陸上植物が辿ってきた生殖方法の進化を考えます。


   

監修・学術指導   筑波大学生物科学系   教授 理学博士 堀 輝三

学術指導・協力  (ストーリー展開にしたがって)
コケ・シダの受精  筑波大学生物科学系  講師 理学博士 宮村 新一 / メソスティグマ   筑波大学生物科学系 文部技官 理学博士  松永 茂 / シダの精子  筑波大学大学院博士課程  生物科学研究科 坂牛 真司 / イチョウの光学顕微鏡切片試料作成  筑波大学研究協力部研究協力課技術専門職員 路川 宗夫 /
被子植物トレニアの受精  東京大学大学院理学研究科生物科学専攻 教授 理学博士 黒岩 常祥 助手 理学博士 東山 哲也
 
映像資料提供
 コレオカエテ  アメリカ ウィスコンシン大学植物学教室  教授 リンダ・グラハム博士 /  シャジクモの精子 オーストリア ウィーン大学植物生理学研究室 教授 ワルター・G・ウール博士     ザルツブルク大学植物学研究室 教授 オスカー・キーヤマイヤー博士+ドイツ国立科学映画研究所(IWF)

協力機関・施設
東京大学理学部付属小石川植物園 / CRVdisc貸与 ソニー株式会社

 この作品におけるイチョウ、ソテツの観察は茨城県つくば市と東京都内で行った。

スタッフ 演出 鈴木 由紀 /撮影 谷口 常也 / 選曲 山崎  宏 / 解説 遠藤 みやこ / 製作 岡田 一男

東京シネマ新社 作品 カラービデオ 35分 


みどころ

進化の段階を追って様々な植物を紹介しているが、植物進化を考える上で最近注目されている種を中心に据えた。将来、植物研究で脚光を浴びるであろう種を先取りして紹介している。

イチョウの受粉の詳細なタイムラプス観察によって、雄花の花粉がひらいてゆき、雌花の受粉滴が花粉を取り込む様子を記録できた。

ギンナン内部での花粉管の中で作られる精子形成の最終段階を初めてタイムラプス記録に成功した。とりわけ精子の先端に渦巻き状に配列される繊毛の様子は圧巻。

「種子の中の海」を泳ぐ精子が、イチョウおよびソテツの卵への入り口(頚溝)に近づき、通過する過程を初めて映像で紹介している。

被子植物トレニアの重複受精の全過程を、さまざまな光学系を駆使し、生きた状態で視覚化した。重複受精は、1898年にロシアのナワシンによって確認され、一世紀を経て日本の植物学者たちは生きた状態での観察を可能にした。


画像ページへ(工事中)
メソスティグマ・コレオカエテ・シャジクモ
ゼニゴケ・カニクサ
イチョウの受粉
ギンナン内部での精子の形成
泳ぐ精子(イチョウ・ソテツ)
トレニアの重複受精


掲載開始 2000.01.11. 最終更新 2012.03.04.

お問い合わせ info@TokyoCinema.net

株式会社東京シネマ新社
112-0001 東京都文京区白山2丁目31番2-101号
phn:03-3811-4577 fax:03-3811-4576


Return to the TOP PAGE

Return to News & Topics